結論から

家計簿を「紙+万年筆」で3年続けてみて、観察の道具を選ぶときに大事だと気づいた基準は次の3つでした:

  1. 開きやすさ(書きやすさより、まず机に開きっぱなしにできるか)
  2. インクの乾きの遅さ(速乾よりむしろ遅い方が、見直しの時間が増える)
  3. 見開きの広さ(1ページの面積より、左右の見開きで1ヶ月が収まるか)

意外なことに、「書き味」や「ペン先の細さ」は、3年使ってもほぼ影響しませんでした。

観察した事実

2023年の春から、デジタルの家計簿アプリ(マネーフォワード)と並行して、紙の家計簿を始めました。

最初に選んだのは A5 サイズの真新しいノートと、書き味で有名な万年筆。書きやすさは確かにありましたが、3週間で開かなくなりました

理由を考えてみると、ノートが厚すぎて、開くと反対側が浮く。机に置いても開きっぱなしにならない。だから毎回「開く」というアクションが必要で、忙しい日には省略してしまう、という構造でした。

2回目は B5 の薄手のノートに変更。今度は紙が薄すぎて裏写りし、見開きが見にくい。これも1ヶ月で挫折。

3回目に選んだのが、現在も使っている A5 の方眼ノート(180度フラットに開く製本)+ ペン先 EF の万年筆。これは3年続いています。

解釈

家計簿を続けるために必要なのは「書く意欲」ではなく、書こうとした瞬間に道具が応えてくれる ことでした。

万年筆もノートも、機能的な性能差よりも、開いたまま放置できる物理特性 のほうが、習慣化には効きました。

これは、サウナの整え方とよく似ています。「いいサウナ」の最終的な決め手は熱さやロウリュではなく、「水風呂と外気浴の動線が短いか」だったりします。

自分はどうしたか

3年目(2026年5月時点)の道具セットは以下です:

  • ノート:A5 方眼、180度フラット開き、月別タブ付き
  • 万年筆:EF(極細)、インクは乾きの遅いブラック
  • 配置:机の左奥に開きっぱなし、月初に該当ページにブックマーク

これだけ。すべて文具店で手に入る範疇で、特別な道具ではありません。

読んでくれた人に渡したいもの

観察の道具は、性能ではなく 動線 で選ぶ。

3年使ってみての結論はこれです。書きやすい万年筆を買っても、ノートが開きにくいと続きません。逆に、開きっぱなしのノートがあれば、ペンは何でも続きます。

これは特定の文具ブランドの推奨ではなく、選び方の基準の整理として書きました。手の動きを観察してから、自分に合う組み合わせを探してみてください。

—— 渋川 整