新NISA、もう2年が経つ

2024 年 1 月に始まった新 NISA。あれから 2 年と少しが経ちました。

公開情報や利用者の記録を読み解くと、新 NISA の使い方は、明確に 3 つのパターン に分かれます。

今回は、その 3 つを、淡々と並べます。

3つの器にそれぞれ違う入れ方で金貨が入っている、3つの運用パターンを表すミニマルなイラスト
同じお金でも、置き方は何通りもある。新NISAの『3つの運用パターン』を、3つの器に見立てて。

結論を先に置きます

新 NISA 運用で、よく見かける 3 つのパターン:

  1. 「つみたて」と「成長」を別の口座と見て運用するパターン
  2. 生涯枠の管理を、Excel ではなくクラウドツール(Notion 等)で年次更新するパターン
  3. 配当の入金を、いったん別の証券口座に分けて受け取るパターン
1
つみたて と 成長を「別口座」感覚で
インデックス自動 / 個別株は手動。混ぜない
2
生涯枠の管理をクラウドで
Excelでなく Notion 等。年1回更新で残量が見える
3
配当は別の口座で受け取る
再投資一択でなく、生活側へも回せるように

それぞれの理由を順に書きます。

その前に、3 つのパターンすべての土台になる 新 NISA の「かたち」 を、1 枚で整理しておきます。

年間の投資枠 つみたて投資枠 120万円 / 年 インデックス積立・自動でコツコツ 成長投資枠 240万円 / 年 個別株・ETFなど・手動で 合わせて 年 360万円まで 生涯の投資枠(ずっと非課税で持てる上限) うち 成長投資枠 最大 1,200万円 つみたて枠で 残りを埋められる 合計 1,800万円
図1 新NISAは『年間の枠』と『生涯の枠』の二層構造。つみたて枠と成長枠を“別物”として扱うと、判断がブレにくい。

2024年開始の新NISA制度/2026年5月時点

パターン 1:「つみたて」と「成長」を別の口座と見る

新 NISA は同じ「NISA 口座」の中に、つみたて投資枠(年 120 万)と成長投資枠(年 240 万)が同居しています。 一見すると便利ですが、これが 判断を曖昧にします

旧 NISA 時代は、「つみたて NISA」「一般 NISA」が別建てで、選択時に モードが切り替わる 感覚がありました。 新 NISA では、ボタン 1 つで両者を行き来できるため、「気の迷い」が混入 しやすい。

そこで、ブレを減らす人の 対処 はこうなります:

・つみたて投資枠(年 120 万)= インデックスファンドの自動積立のみ。手動操作を入れない ・成長投資枠(年 240 万)= 個別株・高配当 ETF など。手動でしか触らない ・両者は 別の証券口座を使っているのと同じ感覚 で扱う

つみたて投資枠
自動
  • インデックスの自動積立のみ
  • 手動操作を入れない
  • 触らない=判断を挟まない
別口座の
ように扱う
成長投資枠
手動
  • 個別株・高配当ETFなど
  • 手動でしか触らない
  • 意図を持って動かす枠

この線引きを持つ人ほど、判断のブレが少ない。

パターン 2:生涯枠の管理をクラウドツールで

新 NISA の生涯非課税保有限度額は 1,800 万円。うち成長投資枠は最大 1,200 万円まで。

この管理を Excel でやる人は、入出金履歴と紐づかないため、結局見なくなりがちです。

代わりに、Notion / Google スプレッドシート / 専用アプリで管理する人は、年 1 回更新するだけで済む形に落ち着きます。

管理テンプレ例(一般化)

商品区分金額累計(つみたて)累計(成長)累計(合計)
20241〜12全世界株インデックスつみたて480,000480,0000480,000
20244高配当 ETF成長600,000480,000600,0001,080,000
202411高配当個別株成長200,000480,000800,0001,280,000
20251〜12全世界株インデックスつみたて480,000960,000800,0001,760,000

※ 一般化したテンプレ例。金額・商品は人それぞれ。 ※ 商品名は文章の構造を示すためのもので、特定の銘柄・ファンドの推奨ではありません。

枠の 残量が一目でわかる 構造になっていれば、年末の「あと○万、何に使おう」の判断が滑らかになります。

表で見ても、正直ピンと来ないかもしれません。そこで、自分のペースで触って確かめられる ようにしてみました。スライダーを動かすと、生涯枠 1,800 万が埋まっていきます。

0900万1,800万(生涯枠)

図2 触って確かめる:つみたて・成長・年数を動かすと、生涯枠1,800万がどう埋まるか。成長枠が1,200万で頭打ちになる感覚も、動かすと分かります。

操作用のシミュレーション。金額・利回りは制度上の枠のみを示し、運用成果ではありません/2026年5月時点

パターン 3:配当を別口座で受け取る

3 つ目のパターンです。

旧来は、NISA 口座の中で配当も非課税で受け取って、そのまま再投資する流派が一般的でした。 新 NISA で、配当受け取り用の特定口座を別に分ける 運用が増えています。

NISA口座 (運用中) 配当 NISA内で再投資 従来の流派。配当の実感は薄め 別の特定口座で受け取る 増えている運用。配当を実感し、 生活側へ回せる。
図3 配当の行き先は2つ。①そのままNISA内で再投資(従来)か、②別の特定口座で受け取って生活側へ回すか。最近は②が増えています。

分けることのメリット

理由は 3 つです:

1. 配当の入金を「実感」できる NISA 内で自動再投資されると、配当が入った感覚が薄れます。 別口座に振り込まれると、月数千円でも「入った」という 体感 がある。 これは長期で続けるための メンタル燃料 として大きい。

2. 取り崩しの段で分けやすい 将来、運用フェーズから取り崩しフェーズに移った時、「配当だけで生活費の一部を組み立てる」という選択肢が取りやすい。 最初から 入口を分けておく と、出口の戦略も柔軟になる。

3. 過去事例で見られた失敗を避ける 「NISA で再投資し続けた結果、いつの間にか配当が出ているが課税口座は空のまま」というケースが、公開されている事例でたびたび観察されます。 配当を 生活側に流す習慣 がないと、いざという時に動けない。

長期の記録で変わった、変わらないこと

新 NISA 開始の前後で、変わったことと、変わらないことを並べます:

変わったこと
  • 口座の細分化(つみたて/成長/配当/生活)
  • 管理ツール(Excel → クラウド)
  • 配当の扱い(再投資一択 → 一部別口座へ)
変わらないこと
  • 積立は止めない(暴落時こそ続ける)
  • 借金してまで投資しない(信用取引は使わない)
  • 生活防衛資金は現金で6ヶ月分(投資の前提)

リーマン・ショックの局面では守れなかった「変わらないこと」を、長期の記録を並べると、ようやく守れる人が増えてきたことが読み取れます。


これから新 NISA を始める方への、起点の整理

最後に、これから始める方への 起点の整理 を書いておきます:

つみたて 成長
20代
100%
まずは長期積立の習慣化
30代
70%
30%
個別株は少額から学ぶ
40代
50%
50%
配当を意識し始める
50代〜
個別判断
退職金との連動。割合より個別判断
図4 年代が上がるほど、重心は『つみたて』から『成長』へ。あくまで起点で、各人の状況で大きく変わります。

これは 起点 であって、各人の状況で大きく変わります。 迷ったら、登録のある証券会社の担当者や、ファイナンシャル・プランナーに相談してみてください。

—— 渋川 整


一次情報(公式ソース)

本記事で触れた新 NISA の制度(年間の枠、生涯非課税保有限度額 1,800 万円、つみたて投資枠/成長投資枠の区分)は、金融庁の公式情報に基づいています。制度は改正されることがあるため、最新の内容は一次情報をご確認ください。

※ 本記事の制度に関する記述は 2026 年 5 月時点 のものです。


連載予告

次回は、「初任給を渡された人へ ── 公開記録から整理する『最初の一歩』5パターン」 を書きます。 新社会人・若手フリーランス・副業始めたばかりの方向けの整理です。


参考資料

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