「数字を見ている」のに、簿記は持っていない人は多い
投資や資産運用で、毎日のように数字を見ている人は多くいます。利回り、評価額、損益。それでも、簿記を学んでいない人は珍しくありません。
不思議に思われるかもしれません。けれど、ここには理由があります。
数字を「読む」ことと、お金の流れを「自分の言葉で理解する」ことは、別の話だからです。
「数字を扱う」と「お金の流れが分かる」は別だった
投資の画面に出てくる数字は、誰かが計算し、整理し、表示してくれたものです。読んで、判断する。それも一つの力ですが、お金が「どこから来て、どこへ出ていくか」を自分で書く側に回ると、見える景色が変わります。
たとえば確定申告で、自分で帳簿をつける場面。借方、貸方。聞いたことはある。でも、自分の手で動かせない。数字に慣れている人でも、ここは別の場所です。
お金の言葉が分かると、怖さが減る
簿記3級で学ぶのは、お金の言葉です。借方と貸方、資産と負債、収入と費用。難しそうな言葉ですが、慣れると、ただの仕分けの約束ごとでした。
この言葉が分かると、確定申告の見え方が変わると言われます。
以前は、申告書を前にすると身構えてしまう。何を書くのか、どこに入れるのか、合っているのか。怖いもの、という感覚です。
簿記を通したあとは、同じ作業が「ただの事務」に近づきます。お金の出入りを、決まった場所に書くだけ。怖さの正体は、言葉を知らなかったことだった――そう整理できます。確定申告の取りこぼしを防ぐ整理はこちらに書きました。
どの本かより、なぜ取るか
簿記の本をどう選ぶかは、別に3冊を読み比べた話を書いています。今日はそこではありません。
本を選ぶより前に、「なぜ取るのか」があると、続きやすいと考えています。
合格そのものを目的にしないほうが、長く続くと言われます。お金の流れを、自分の言葉で持ちたい。試験は、その通過点として置く。学習期間は、毎日少しずつで一月ほどが一つの目安ですが、人によって違います。
サウナで言えば、外気浴の相
このサイトでは、お金を三つの相で見ています。投資や支出の「冷」、配当や売却益の「熱」、そして観察の「外」。
学び直しは、外気浴の相だと考えています。何かを増やす時間ではありません。ただ、自分のお金の流れを眺められるようにする時間です。地味ですが、ここを通すと、ほかの相の見え方も変わってきます。
学ぶのに、遅いはない
数字を見慣れた人が、あらためて簿記3級を学ぶ。回り道のようですが、この順番には意味があると考えています。
必要になって初めて、言葉が体に入る。投資の画面を眺めているだけだと、「画面の数字」のまま通り過ぎてしまいがちです。
学び直しに、早いも遅いもありません。必要だと思ったときが、たぶん一番入る時期です。急がなくて大丈夫。自分のペースで、机にノートを開くところから。
—— 渋川 整