先に、結論

2026年6月時点で公開記録を辿ると、家計と相場の両方を揺らした大きなショックは3つあります。 2008年のリーマン、2020年のコロナ、2022年の円安150円です。

並べてわかるのは、3つとも、かたちがまるで違ったということです。 深さも、速さも、家計への来かたも、毎回ちがいました。

だから「次も同じ」と身構えるより、どれが来ても生活が回る形を、静かな今のうちに整えておく。 それが、3つを横断して見えた答えです。

3つは、どう違ったか

ひとつずつ、性質を書きます。

2008年 リーマンショック ── 深く、長い

信用収縮の暴落でした。 米国株はピークから −56%。完全に戻るまで 約4年 かかりました。

ジリジリと数ヶ月かけて落ち、底がどこかも見えない。 当時の報道記録を辿ると、証券会社の支店窓口では電話が鳴り止まなかった様子が読み取れます。 3つのうち、いちばん深く、いちばん長い暴落でした(当時の記事)。

2020年 コロナショック ── 浅く、速い

史上最速で落ちて、史上最速で戻った暴落でした。 米国株はおよそ1ヶ月で −34%。それが 約5ヶ月 で元に戻りました。

リーマンより浅い。けれど、速さが段違いでした。 速すぎて、考える時間がなかった。だから反射で動いた人が多かった(当時の記事)。

2022年 円安150円 ── そもそも暴落ではなかった

これが3つのなかで、いちばん性質が違います。 株価の暴落ではなく、為替と物価として来ました。

ドル円は一時 151.94円。長く続いた円安の、一つの通過点です。 円安は輸入物価を押し上げ、消費者物価(CPI)は前年比 +3.7%規模に。 光熱費や食料品で、体感が大きい年でした。

下落のグラフではなく、スーパーのレジの合計金額として家計に届いた。 それが2022年でした(当時の記事)。

横断して並べる

1行=1ショックで、性質を並べます。

ショック性質来かた戻り・続きかた
2008 リーマン信用収縮の暴落数ヶ月かけてジリジリ深く(−56%)完全回復まで約4年
2020 コロナ史上最速の暴落約1ヶ月で一気に(−34%)約5ヶ月で回復
2022 円安150円暴落でなく物価高為替→輸入物価→家計へ(151.94円)円安はその後も継続(CPI +3.7%規模)

数字は損の側です。でも、覚えておくべきはここではありません。 どの形が来ても生活が回るように、構えておくこと。そちらが主役です。

来かたが違うから、効くところも違った

リーマンとコロナは、投資の口座の評価額を下げました。 2022年の円安は、向きが逆でした。 外貨建ての資産は円換算で膨らんで見えた一方、生活費は物価高で上がった。

つまり、同じ円安が、投資と家計に反対向きに効いたわけです。 暴落と物価高では、痛む場所も、構えかたも違います。

だから、どう構えておくか

3つのかたちが全部違っても、構えの土台は共通でした。 派手な必勝法ではありません。静かな時に決めておける、3つだけです。

  • 生活に必要なお金は、投資に回さない。 暴落が深くても長くても、生活の現金に余白があれば、慌てて投げずに済みます。
  • 動いている積立は、止めない。 落ちる速さがどれだけ速くても、淡々と買い続けたほうが、長期では有利になりやすい。
  • 家計を、数字で眺めておく。 物価高は、家計簿で「どの項目が、いくら上がったか」を見て初めて対処できます。

どれも、3つのショックの公開記録と家計の現実を、繰り返し並べて確かめたことです。

2026年6月時点で、振り返って思うこと

リーマンは深く長い暴落。コロナは浅くて速い暴落。円安150円は、そもそも暴落ですらなく、物価高として来ました。

3つとも、かたちが違った。 だから「次はどれが来るか」を当てにいくのは、たぶん徒労です。

当てにいくより、どれが来ても回る準備をしておく。 淡々と積立を続け、現金の余白を持ち、家計を眺める。 この3つさえ静かな今のうちに整えておけば、次が深くても、速くても、物価高でも、生活は回ります。

3つのショックを時系列で見たい方は、タイムラインもどうぞ。 急いで何かを始める必要はありません。整えるのは、静かな今のうちに。

—— 渋川 整


これは「過去事例」シリーズの一本です。 本記事は情報提供であり、特定の金融商品の購入・契約を勧めるものではありません。数字は概数で、2026年6月時点の整理です。投資判断はご自身の責任で。