なぜ、いま料金と連携条件を確認し直すか
家計簿アプリの比較記事は、2年ちかく前に一度書きました。その間に、無料版でできる範囲は各社とも静かに変わっています。マネーフォワード MEは連携数の上限が縮小しました。Moneytreeは一度、無料版のデータ閲覧期間に制限をつけたと報じられましたが、現在の公式ページを開くと、その制限は見当たりません。
この一件が、今回いちばん学びになりました。仕様は、変わったきり戻らないとは限りません。 報道は「いつ変わったか」を知る手がかりにはなりますが、「今どうなっているか」の根拠にはできない、ということです。
今回は、機能の紹介ではなく、公式サイトに書かれている条件だけを並べ直しました。数字は2026年8月3日に各社の公式ページを開いて確認したものです。
結論を先に書きます
家計簿アプリの4社(マネーフォワード ME/Zaim/Moneytree/OsidOri)は、どれも「銀行・カードを連携して自動で家計を見える化する」という基本設計は同じです。差が出るのは、無料版でどこまでできるか、という一点です。
| 向く方 | 向くアプリ |
|---|---|
| 連携する口座・カードが5件以上/自営業 | マネーフォワード ME(有料プラン前提) |
| 連携数を気にせず無料で使い続けたい | Zaim |
| 無料のまま、広告なしで全期間の推移を見たい | Moneytree(無料版・iPhone) |
| 夫婦・パートナーで家計を共有したい | OsidOri |
2026年8月時点の料金・連携条件を、公式情報にもとづいて並べておきます。数字は変更されることがあるため、契約前に各社公式サイトでの再確認をおすすめします。
観察した事実 ── 4社を1社ずつ
以前、家計簿アプリ4社を公開情報から整理した記事を書きました。今回は、そこから2年ちかく経った2026年8月時点の料金・連携条件を公式ソースで確認し直した、より細かい版です。特に無料版の「できる範囲」は、各社ともこの間に変更されています。
マネーフォワード ME
無料版で連携できる金融機関数は、2022年12月の変更で10件から4件に縮小されています。以来、2026年8月時点でも4件のままです。
有料の「プレミアムサービス スタンダードコース」は連携数が無制限になり、料金は2025年8月5日の改定後で、Web・クレジットカード決済が月540円(年5,940円)、App Store・Google Play決済が月590円(年6,490円)です(決済方法で金額が変わります)。さらに上位の「資産形成アドバンスコース」は月980円(年10,700円)で、資産形成向けの分析機能が追加されます。
連携金融機関数そのものは業界内でも多い部類とされており、確定申告ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」と同系列でデータがつながる点は、確定申告ソフト3社の比較記事でも触れました。
Zaim
Zaim公式のFAQでは、「銀行やカードなどの連携において、最大登録数の上限は設けておりません。無料会員・プレミアム会員どちらも上限はございません」と明記されています。4社の中で、無料版に連携数の制限がないのはZaimだけです。
有料の「プレミアム」は、Web申込みが月440円(年4,378円)、App Store・Google Play申込みが月480円(年4,800円)です。差額はプラットフォーム手数料の分で、Web申込みのほうが年間で数百円安くなります。有料版で変わるのは連携数ではなく、銀行・カード連携の更新タイミングを自分で選べることです(無料版は自動更新のみ、一部金融機関は有料でも手動更新が必要な場合があります)。
Moneytree
無料版は「永年無料」で、広告は「広告非表示 ※Android版上では表示」と書かれています。つまり iPhone では広告が出ません。
ここは、確認していていちばん驚いた箇所です。2024年5月に「無料版で閲覧できるデータを直近12ヶ月間に制限する」と報じられており、私もその前提で書きかけていました。ところが2026年8月3日に公式の料金ページを開くと、無料プランの欄には「過去のデータ全ての閲覧(制限なし)」と書かれています。同じページに、無料プランでも「50社まで金融サービスを登録可能」と明記されています。
いつ戻ったのかは、公式には見つけられませんでした。分かるのは、2024年の報道どおりの状態では、現在はないということだけです。2年前の記事や、当時のまとめを読んで判断すると、ここを取り違えます。
有料プラン「Moneytree Grow」は、Web決済が月390円(年3,900円、年払いで16%割引)、アプリ決済が月430円(年4,300円)です。カテゴリ別予算設定や月次レポートなど、無料版にない分析機能が付きます。4社の中では、家計管理向けの有料プラン単価はもっとも低い水準です。
OsidOri
公式サイトには「OsidOriは無料で全ての機能を利用できます」と明記されており、2026年8月時点で確認できる範囲では、家計管理向けの有料プランは案内されていません。4社の中で唯一、料金プランという概念自体を持たないアプリです。
連携できる金融機関数について、公式サイトに具体的な件数の記載は見当たりませんでした。件数を断定できる一次情報を確認できなかったため、ここでは数字を出しません。契約前に公式アプリで直接確認してください。
機能面の特徴は、夫婦・パートナーで「共有する部分」と「共有しない部分」を分けて管理できる設計です。家賃・光熱費・保険など世帯で共有したい支出だけを見せ合い、個人の支出は非公開のページに残せます。旅行や教育費などの共同目標を、二人で積み立てる機能もあります。
料金体系のクセ ── Web申込みとアプリ内課金の差
有料プランを持つ3社(マネーフォワード ME・Zaim・Moneytree)に共通する構造があります。Web経由で申し込んだほうが、App Store・Google Play経由より安いという点です。
- マネーフォワード ME:Web・クレジットカード決済 540円 → App Store・Google Play決済 590円(差額50円/月)
- Zaim:Web申込み 440円 → App Store・Google Play申込み 480円(差額40円/月)
- Moneytree:Web決済 390円 → アプリ決済 430円(差額40円/月)
差額は、Appleやgoogleがアプリ内課金に課すプラットフォーム手数料が上乗せされる分です。年払いにすると、この差はさらに広がります(マネーフォワード MEは年5,940円と年6,490円で550円の差)。スマホのアプリストアからそのまま登録すると、毎月わずかに割高な契約になる、という構造は3社に共通していました。
Zaimには、もう一つ見落としやすい条件があります。2019年8月の価格改定より前から継続して契約している利用者は、月360円のまま据え置かれている、という記載が公式FAQにあります。同じアプリでも、契約時期によって支払っている金額が違う場合がある、という一例です。
選ぶ前に整理しておく3つの質問
機能の一覧を眺める前に、次の3つに答えておくと、比較表のどこを重視すべきかがはっきりします。
- 連携したい銀行・カード・証券は何件か:4件を超えるなら、マネーフォワード MEの無料版では足りません。Moneytreeは無料で50社まで、Zaimは無料でも上限がありません。
- 無料のまま使い続けたいか、更新のタイミングを自分で握りたいか:Zaimの有料版で変わるのは連携数ではなく更新タイミングです。ここに不満がないなら、無料のままで足ります。
- 家計を、パートナーと共有したいか、自分だけで完結させたいか:共有したいなら、OsidOriの設計が他の3社と根本的に違います。
この3つのどれにも強いこだわりがなければ、料金の安さと広告の有無だけで選んでも、実用上の差はそれほど大きくありません。
4社の比較表
表を並べて見えるのは、「無料」という同じ言葉でも、絞る場所がアプリごとに違うという点です。マネーフォワード MEは連携数を4件まで絞り、Zaimは上限を作らず、Moneytreeは50社まで開けたうえで広告を Android に置き、OsidOriはそもそも有料プランを用意していません。どれが優れているかではなく、どこを制限されると困るかで選ぶものです。
なお「公式に記載を確認できず」と書いた欄は、**無いという意味ではありません。**公式サイトを最後まで見て、私が見つけられなかった、という意味です。確認できていないことを「制限なし」と読み替えないでください。
あなたが今、こうなら
- 口座・カード・証券を5件以上持っているなら:マネーフォワード MEの無料版4件では足りません。有料プラン、またはZaimが向いています。
- 無料のまま使い続けたい、連携数を気にしたくないなら:Zaimが候補になります。ただし更新タイミングを自分で選べないため、反映が遅いと感じることがあります。
- 広告が気になるなら:iPhone で使う前提なら、Moneytreeの無料版は広告が表示されません。連携も50社まで、閲覧期間の制限もない状態です(2026年8月3日時点)。
- パートナーと家計を共有したい、個人の支出は見せたくないなら:OsidOriの「共有と個人の分離」設計が、この目的にもっとも近い作りです。
どれを選んでも、最初の1ヶ月は設定に手間がかかります。銀行やカードの連携が完了してから、毎月見る画面がどれくらい苦にならないか、そこで実際に決まります。
続けられるかどうかは、アプリの機能では決まらない
料金と連携数を並べても、実は続けられるかどうかへの影響はそこまで大きくありません。公開されている家計簿アプリの利用実態を読み解くと、挫折の主な原因は「入力の手間」ではなく「完璧に記録しようとしすぎること」だと繰り返し指摘されています。
この構造は、家計簿が続かない理由を仕組みの面から観察した記事と、90日間つけ続けた記録を数字で振り返った記事で、それぞれ別の角度から扱いました。アプリ選びは入口にすぎず、7割の完成度で続ける前提を作れるかどうかが、その先を決めます。
サウナで言えば、家計簿アプリはCHILL、外気浴の道具にあたります。毎日サウナ室に入る必要がないのと同じで、家計簿アプリも毎日開く必要はありません。月に一度、全体を眺めて温度を確認する道具として使うだけで、十分に機能します。
ただし、これは制度上の話ではなく各社の商用プランの話なので、個別判断になります。あなたの利用頻度や連携したい金融機関の組み合わせによって、向くアプリは変わります。
一次情報(公式ソース)
- マネーフォワード ME プレミアムサービス料金改定のお知らせ:support.me.moneyforward.com
- マネーフォワード ME 無料会員の連携上限数変更のお知らせ:corp.moneyforward.com
- Zaim プレミアムの料金:content.zaim.net/premium
- Zaim 銀行・カードの登録数上限について(FAQ):content.zaim.net
- Moneytree プランと料金:getmoneytree.com(2026年8月3日に確認。無料プラン欄に「過去のデータ全ての閲覧(制限なし)」「50社まで金融サービスを登録可能」の記載)
- Moneytree 無料プランのデータ閲覧制限(2024年5月13日〜)の報道:Impress Watch(当時の報道です。上の公式ページの現在の記載とは異なります)
- OsidOri 公式サイト:osidori.co(2026年8月3日に確認。FAQ に「OsidOriは無料で全ての機能を利用できます」の記載)
更新日:2026年8月3日
—— 渋川 整
本記事は情報提供であって、特定のアプリの契約を勧めるものではありません。料金・連携条件は2026年8月3日時点の公式情報にもとづき、その後変更される可能性があります。個別の契約判断はご自身の責任で行い、最新の条件は各社公式サイトでご確認ください。