勤め先を辞めて、肩書きが「会社の人」から「個人投資家」に変わる。退職を機に運用を自分で始める人は少なくありません。
その前後で、整えておくとよいことがいくつかあります。今日はその話を。特別なことはありません。公開情報と一般的な準備の考え方から、順番に、淡々と並べます。
看板が外れると、見え方が変わる
会社員のあいだは、お金の話をどこか会社の言葉でしている人が多いものです。商品の説明も、運用の考え方も、組織の看板を借りている部分がある。
辞めると、その看板が外れます。そこで初めて、自分のお金を自分の言葉で見るようになる。誰かに説明するためではなく、自分が納得するために数字を見る。これは、思っているより大きな変化のようです。
だから、辞める前にやっておくとよいのは「準備」より「整理」だと考えています。
退職前に、整えておきたいこと
生活費の把握
まず、毎月いくらで暮らしているかを出しておく。1年分の支出をならして、月の数字にする。これがないと、いくら現金を残せばいいかが決まりません。
現金の余白
数か月分の生活費を、投資とは別に現金で置いておく。金額は人それぞれですが、考え方はシンプルです。生活費は相場と無関係に減らない場所に置く。先に分けておくと、相場が動いても、その現金を取り崩さずに済みます。
口座の整理
使っていない口座を閉じておく。入出金の流れを少なくして、お金がどこをどう通るかを見えやすくする。眺める対象がシンプルなほど、観察が続きます。
積立の仕組み化
毎月の積立を自動にしておく。辞めると、時間ができます。時間があると、つい相場を見て、つい動かしたくなる。判断の回数を先に減らしておくと、辞めた後も同じペースで続けやすくなります。
相場を見ない時間
会社員のあいだに相場を見る習慣がついていると、辞めた後もそれが残ります。だから、見ない時間を先に作っておく。一日中チャートを見ても、できることは増えません。
サウナで言えば、外気浴の準備
この記事の話は、サウナの三相で言えば「外」、外気浴の局面です。何かを大きく動かすのではなく、ただ自分のお金の流れを眺めて、整えておく時間。
退職金のような大きなお金も、急いで動かさないほうが選択肢が残ります(退職金、サウナで考えた使い道)。準備も同じで、先に整えておくと、退職後にあわてずに動けます。
急がなくて大丈夫です
これは一般的な準備の並べ方で、何が正解かは人それぞれです。生活費も、必要な現金の量も、家庭の事情で変わります。個別の判断になります。
ただ、ひとつ言えることがあります。先に整えておいたぶんだけ、辞めた後の自分は落ち着いていられます。準備は、未来の自分にあげる余白です。
急がず、ひとつずつ整えていけば大丈夫です。
—— 渋川 整