先に、結論
暴落で含み損が出たとき、「何もしない」が一番難しく、一番効きます。
売りたくなるのは自然な反応です。だからこそ、意志ではなく仕組みで支えます。
淡々と持ち続け、積み続けた人が、振り返ると静かに報われていました。
なぜ、売りたくなるのか
画面の数字が赤くなると、人は反射的に売りたくなります。理由は3つあります。
ひとつ、損を確定したくない。下がった分を「失った」と感じ、それ以上減るのが怖くて、逆に売ってしまう。これは損失回避と呼ばれる、人の自然な傾向です。
ふたつ、見るほど不安になる。明細を開くたびに含み損が増えていれば、冷静ではいられません。
みっつ、周りに流される。「みんな逃げている」という空気は、判断を上書きします。
どれも意志の弱さではありません。普通の反応です。だから、意志で抑えようとしないほうがいい。
「何もしない」を支える4つの仕組み
慌てないための仕掛けを、暴落が来る前に置いておきます。静かな今のうちに整える話です。
①は、暴落の当日に判断しないための仕掛けです。慌てている時の決定は、たいてい後悔します。静かな時に「積立は止めない」と決めておけば、当日は何もしなくていい。
②は、不安の入り口を細くする工夫です。毎日見れば毎日動きたくなる。頻度を下げるだけで、反射の回数が減ります。
③は、土台です。生活に必要なお金が別にあれば、暴落の最中に資産を売って現金を作る必要がありません。売らずに済む状態を、先に作っておく(生活防衛資金の話)。
④は、記憶の支えです。下のグラフのように、過去の暴落がどう戻ったかを知っておくと、足元の赤い数字に飲まれにくくなります。
歴史は、慌てた人の裏返しを記録してきた
2020年のコロナショックは、史上最速で落ち、史上最速で戻りました。1ヶ月で米国株が34%下がり、5ヶ月ほどで元に戻った。それでも現場では、また同じ失敗が繰り返されました(コロナの3つの失敗パターン)。
積立を続けた人は、もっと早くプラス圏に戻っています。下落の最中も安く買い続けられたからです(積立は何ヶ月で戻ったか)。
3つのショックを横断して見たい方は、こちらの記事もどうぞ。
ここで言い切れるのは「必ず戻る」ではありません。将来は誰にもわかりません。ただ、これまでの暴落を振り返ると、淡々と持ち続け・積み続けた人が、結局いちばん報われていた、という向きは見えてきます。
サウナで言えば、水風呂に飛び込む局面です。冷たいのは苦しい。でも、すぐに出てしまうと整いません。
「何もしない」は、立派な技術
何もしないのは、怠けることではありません。
売りたくなる反射に逆らって、口座を閉じ、決めたルールを守り、淡々と持ち続ける。それは、はっきりとした技術です。
そしてこの技術は、暴落の最中には身につきません。静かな今のうちに、仕組みとして仕込んでおくものです。
急いで何かを始める必要はありません。整えるのは、今のうちに。
—— 渋川 整
本記事は情報提供であり、特定の金融商品の購入・契約を勧めるものではありません。過去の事例は将来の結果を保証するものではなく、数字は概数です。投資判断はご自身の責任で。現行制度(2026年6月時点)を前提としています。